前回は骨粗鬆症に伴って、高齢者に多い骨折の中での上腕骨近位端骨折について紹介しました。
<高齢者に多い骨折>
・脊椎圧迫骨折 (背骨)
・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
・上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)
今回は、骨折した後の修復過程について説明します。
折れた骨が修復された結果は、ほとんどの場合、瘢痕(はんこん)を残す事なく新しい骨組織に置き換わり、適切な治療をすれば正常な機能に再生します。
これに対して、皮膚や筋肉などの場合は、瘢痕組織となり外観や機能に影響を残します。
<骨折の修復過程>
炎症期、修復期、リモデリング期があり、3つの段階が互いに重複しながら進行します。
・炎症期・・・骨折直後から数日間
骨折して骨や血管などの組織が損傷すると、出血によって血腫が形成されます。
この血腫が、接着剤のような役割をして、この血腫を舞台に、リンパ球などの炎症性細胞、破壊や壊死した組織を除去するマクロファージ、損傷した骨や血管などをいずれ修復する未分化間葉系細胞が集まって来ます。
この炎症期が、仮骨(かこつ)の形成や周辺組織の形成に重要で、受傷から約48時間における処置が骨折の運命を決定する事になります。
・修復期・・・骨折の数日後に始まり数週から数ヶ月間
骨折後の修復過程の新しい骨は仮骨と呼ばれ、骨折部の隙間を埋めるような内軟骨性骨化による内仮骨、骨折部を包み込むような膜性骨化による外仮骨が形成されます。
初期段階での仮骨は、カルシウムの量が少なく、ゴムのように柔らかい組織ですが、骨折後の約3、4週目くらいから骨化が進み、レントゲンにも映るようになります。
・リモデリング期・・・骨折の数週後から始まり数ヶ月から数十ヶ月間
骨折した部分を紡錘状に取り囲んでいた仮骨を、骨を壊す破骨細胞によって吸収され、骨を造る骨芽細胞によって新たに骨が形成されて、この吸収と形成を繰り返して修復されて行きます。
このリモデリング期に、適度な荷重や刺激を加えると、骨癒合が促進するという性質があります。
*骨折に関わらず、骨は新陳代謝を繰り返して骨形成しますが、この破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れて、破骨細胞の働きが勝ってしまった状態が骨粗鬆症と言えます。
<骨癒合に必要な条件>
・骨折部の接合
・骨折部の血腫
・骨折部の固定
・十分な血流
・適度な刺激
<骨癒合に必要な栄養素>
・タンパク質 (特にコラーゲン)・・・骨を形成する
・ビタミンC・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・コラーゲンを合成する
・ビタミンB群・・・・・・・・・・・・・・・・・・代謝を促進する
・カルシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・骨を形成する
・ビタミンD・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カルシウムを吸収する
・ビタミンK・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・骨形成と血液凝固を促進する
・銅、鉄、亜鉛などのミネラル・・・・・骨を形成する
転倒しても骨折しない丈夫な骨を造るように心掛けましょう!
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