2015年11月24日火曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.4』

昨日、23日は二十四節気の『小雪』でした。
徐々に陽射しが弱くなり、虹が発生し難くなって来ます。
また、紅葉が散り始めて、イチョウの木からは銀杏が落ち、柑橘類の実が黄色く色付いて来る頃です。

さて、前回は骨粗鬆症に伴って、高齢者に多い骨折の中での脊椎圧迫骨折について紹介しました。
<高齢者に多い骨折>
 ・脊椎圧迫骨折 (背骨)
 ・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
 ・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
 ・上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)

今回は、大腿骨頚部骨折について説明します。

『大腿骨頚部骨折』
 大腿骨頚部骨折に関しては、関節包内骨折(一般的な大腿骨頚部骨折)と関節包外骨折(大腿骨転子部骨折、大腿骨転子下骨折)の2種類があります。
 年間約17万人が骨折し、長期の入院で体力や身体の機能が低下する事により、骨折前には約60%の方が自立していたのに、1年後には約40%にまで低下し、寝たきりや要介護状態に陥り、約10%が死亡するというデータもあるくらい深刻です。

<原因>
 転倒による骨折が最も多いのですが、寝たきりなどの高度に骨粗鬆症が進んでいる場合には、おむつ交換の時など大きな外力が加わっていないのに骨折してしまう事も珍しくありません。

<症状>
 股関節部に痛みと腫れがあり、立つ事や歩く事が出来なくなります。

<診断>
 診断には、X線(レントゲン)やCT、亀裂骨折(ヒビ)と言った分かり難い場合にはMRI検査を行い、受傷した部位と骨折の程度を判断します。 

<保存的治療法>

 大腿骨頚部骨折に対しては、一般的に手術療法が選択されますが、糖尿病などさまざまな合併症により手術が困難な場合や、本人や家族が手術を希望しない場合、認知症があり術後の管理が難しいと思われる場合は、保存療法が選択される事があります。
 大腿骨頚部での骨癒合は約12週で、高齢者では遅れる傾向にあり、この場合の入院期間は、数ヶ月必要となってしまいます。
<外科的治療法>
 骨折した部位が関節包内か関節包外かによって手術方法が異なりますが、これは関節の内側では血流が乏しく骨がくっつき難く、逆に外側では血流が良く骨がくっつきやすい為です。
 ・人工骨頭置換術
  骨折した頚部から骨頭までを切除して,そこを金属やセラミックなどの人工物に置き換える手術です。
 ・骨接合術
  折れた骨をピンやスクリューなどの金属の器具で固定して,折れた部分をくっつける手術です。
  手術をした場合の入院期間は3週間から1ヶ月くらいです。

<頚部骨折における骨癒合し難い理由>
 ・大腿骨を栄養する血管が損傷して、骨頭の壊死偽関節となる
 ・外骨膜がない為に骨膜性仮骨が形成されない
 ・骨折線が傾斜する為に剪断力が働く

<予後>
 手術をして早期に退院したとしても、かなり高い頻度で肺炎循環器疾患精神的障害などの合併症は発生しています。
 大腿骨頚部骨折は、骨折そのものによる障害よりも、ベッド上で安静にしているからこそ起こる多くの問題が出現します。
 具体的には、褥瘡(床ずれ)尿路感染症、肺炎、認知症の出現や悪化などの可能性が高くなり、また体を動かさない事で、関節が硬くなったり筋力や体力の低下などによって、骨がついても歩行困難となってしまう場合があります。

 その為、早期に手術を行い、早期にリハビリを開始し、早期に離床する事が理想なのです。

高齢者の方は、特に転倒には注意しましょう!

2015年11月21日土曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.3』

前回は、骨粗鬆症に伴って、高齢者がどこの場所を骨折しやすいのか紹介しました。
<高齢者に多い骨折>
 ・脊椎圧迫骨折 (背骨)
 ・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
 ・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
 上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)

今回からは、それぞれの骨折について説明します。

『脊椎圧迫骨折』
 脊椎圧迫骨折に関しては、1年に約90万人が骨折していると発表されていて、背骨(頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個)の中でも、特に胸腰椎移行部(胸椎の下部~腰椎の上部)に多く発生しています。
 通常、手術はしない事が多く、潰れた状態で骨が固まってしまう為、背中が後方に弯曲して丸くなったり(亀背)、背が低くなる事があります。

<原因>
 尻もちをついたり、くしゃみをしたり、重い物を持ち上げるなど、ちょっとしたきっかけで椎体が潰れる事があり、気付かない間にいつの間にか骨折している事もあります。

<症状>

 痛みには特徴があり、寝ている姿勢から起き上がろうとすると鋭い痛みが生じ、一旦立ち上がれば痛みが落ち着いて、歩行も可能になるので『体動時腰痛』と言われています。
 また、骨折による脊髄の圧迫の為、筋力低下、知覚麻痺、膀胱直腸障害(尿や便の失禁など)、骨折や変形による神経障害、歩行障害、背骨が横に曲がってしまう脊椎側弯症、前に曲がってしまう脊椎前弯症、後ろに曲がってしまう脊椎後弯症、更にこの脊椎後弯症による逆流性食道炎心肺機能低下などの症状が見られる事もあります。

<診断>

 診断には、X線(レントゲン)やCT、MRI検査を行い、受傷した部位と骨折の程度を判断します。 

<保存的治療法>

 コルセットやギプスを装着して、2~3週間、ベッド上で安静にする必要があります。
 コルセットなどを巻いたままでの生活になるので、日常における活動が制限され、長期の入院が必要になる事もあります。 
 また、高齢になる程、長期間のベッドの上での安静は、著しい筋力低下認知症の出現や悪化の危険性も伴います。

<外科的治療法>

 経皮的椎体形成術:PVP(Percutaneous Vertebroplasty)
  基本的には局所麻酔で、経皮的に変形した椎体に対し、金属針を刺入し骨セメントを注入します。
   手術時間は約1~2時間で、当日はベッド上での安静となり、手術後の状態が問題なければ、翌日から歩行を開始し、3日~7日で退院となります。
   現在、日本では保険診療の対象になっていません。
 ・経皮的後弯矯正術:BKP(Balloon Kyphoplasty)
   全身麻酔で、経皮的に変形した椎体に対し、バルーン(風船)状の手術器具で椎体に骨セメントを注入します。
   手術時間は1時間以内で、当日はベッド上での安静となり、手術後の状態が問題なければ、翌日から歩行を開始し、3日~7日で退院となります。
   保険診療の適応ですが、椎体の圧迫骨折から8週間経過しても痛みと変形が残っている場合などに限られています。

<予後>

 一般に骨粗しょう症では、一度脊椎の圧迫骨折を起こすと、その後、隣接する椎体を含めて再骨折する確率は、2年以内で約40%と言われています。
 1個の脊椎圧迫骨折がある症例では, 1年以内に再度圧迫骨折する頻度は、 骨折のない症例と比較して3.5、2個以上の圧迫骨折がある症例では8 倍になるというデータもあるくらい再発しやすい骨折です。

高齢者の方は、特に転倒には注意しましょう!
腰痛ナビのHPより>

2015年11月13日金曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.2』

前回は、骨粗鬆症の話をしました。
高齢者で特に閉経後の女性に多く、冬場に多発するという内容でした。

今回は、身体の中でも、どこの場所を骨折しやすいのか紹介します。

<高齢者に多い骨折>
  ・脊椎圧迫骨折 (背骨)
  ・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
  ・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
  ・上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)

次回からは、それぞれの骨折を説明したいと思います。



TERUMOHPより>

2015年11月10日火曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.1』

11月8日は、二十四節気の『立冬』でした。
朝夕冷え込むようになり、日中の陽射しも弱まって来て、一雨ごとに寒さが増して行きます。

さて、2014年における日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳となり、いずれも過去最高を更新して、出生率が低い中で高齢化社会が進んでいます 。

東京消防庁の調査によると、高齢者の負傷事故の原因は、転倒と転落が約8割を占めていて、その転倒場所の約6割が、自宅など建物の中で発生しています。
また、これからの冬場の時期に、骨粗鬆症によって骨折する件数が多いというデータがあります。
この原因として、自宅でコタツを利用する事によって、コタツ布団に足を取られて転倒したり、寒さの為に筋肉や関節が硬くなりやすく、着ている洋服も厚手になりがちなので、咄嗟に動き難いなどの理由が考えられます。

骨粗鬆症とは、骨が脆くなって骨折しやすくなる病気ですが、成長期以降に加齢や女性では閉経に伴って、破骨細胞による骨吸収骨芽細胞による骨形成を上回る事で骨強度が低下していってしまう状態です。
簡単に言えば、骨がリモデリングと言われる代謝をして入れ替わって行く中で『造るスピードよりも壊すスピードの方が早い為に、どんどん弱くなってしまう』という事です。

骨強度 = 骨密度 × 骨質
と表されますが、骨密度とは『一定容積の骨に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の量』の事で、骨質とは『構造や材料』の事です。
例えば、骨を鉄筋コンクリートの建物だとすると、カルシウムなどのミネラルはコンクリートで、タンパク質であるコラーゲンがコンクリートの中に埋まっている鉄筋だとすると、これら鉄筋コンクリートが、ぎっしりと詰まっている事で丈夫な骨が作られるという事になります。

転んでも折れない丈夫な骨を作りましょう!


骨粗しょう症のHPより>



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