2015年11月21日土曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.3』

前回は、骨粗鬆症に伴って、高齢者がどこの場所を骨折しやすいのか紹介しました。
<高齢者に多い骨折>
 ・脊椎圧迫骨折 (背骨)
 ・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
 ・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
 上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)

今回からは、それぞれの骨折について説明します。

『脊椎圧迫骨折』
 脊椎圧迫骨折に関しては、1年に約90万人が骨折していると発表されていて、背骨(頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個)の中でも、特に胸腰椎移行部(胸椎の下部~腰椎の上部)に多く発生しています。
 通常、手術はしない事が多く、潰れた状態で骨が固まってしまう為、背中が後方に弯曲して丸くなったり(亀背)、背が低くなる事があります。

<原因>
 尻もちをついたり、くしゃみをしたり、重い物を持ち上げるなど、ちょっとしたきっかけで椎体が潰れる事があり、気付かない間にいつの間にか骨折している事もあります。

<症状>

 痛みには特徴があり、寝ている姿勢から起き上がろうとすると鋭い痛みが生じ、一旦立ち上がれば痛みが落ち着いて、歩行も可能になるので『体動時腰痛』と言われています。
 また、骨折による脊髄の圧迫の為、筋力低下、知覚麻痺、膀胱直腸障害(尿や便の失禁など)、骨折や変形による神経障害、歩行障害、背骨が横に曲がってしまう脊椎側弯症、前に曲がってしまう脊椎前弯症、後ろに曲がってしまう脊椎後弯症、更にこの脊椎後弯症による逆流性食道炎心肺機能低下などの症状が見られる事もあります。

<診断>

 診断には、X線(レントゲン)やCT、MRI検査を行い、受傷した部位と骨折の程度を判断します。 

<保存的治療法>

 コルセットやギプスを装着して、2~3週間、ベッド上で安静にする必要があります。
 コルセットなどを巻いたままでの生活になるので、日常における活動が制限され、長期の入院が必要になる事もあります。 
 また、高齢になる程、長期間のベッドの上での安静は、著しい筋力低下認知症の出現や悪化の危険性も伴います。

<外科的治療法>

 経皮的椎体形成術:PVP(Percutaneous Vertebroplasty)
  基本的には局所麻酔で、経皮的に変形した椎体に対し、金属針を刺入し骨セメントを注入します。
   手術時間は約1~2時間で、当日はベッド上での安静となり、手術後の状態が問題なければ、翌日から歩行を開始し、3日~7日で退院となります。
   現在、日本では保険診療の対象になっていません。
 ・経皮的後弯矯正術:BKP(Balloon Kyphoplasty)
   全身麻酔で、経皮的に変形した椎体に対し、バルーン(風船)状の手術器具で椎体に骨セメントを注入します。
   手術時間は1時間以内で、当日はベッド上での安静となり、手術後の状態が問題なければ、翌日から歩行を開始し、3日~7日で退院となります。
   保険診療の適応ですが、椎体の圧迫骨折から8週間経過しても痛みと変形が残っている場合などに限られています。

<予後>

 一般に骨粗しょう症では、一度脊椎の圧迫骨折を起こすと、その後、隣接する椎体を含めて再骨折する確率は、2年以内で約40%と言われています。
 1個の脊椎圧迫骨折がある症例では, 1年以内に再度圧迫骨折する頻度は、 骨折のない症例と比較して3.5、2個以上の圧迫骨折がある症例では8 倍になるというデータもあるくらい再発しやすい骨折です。

高齢者の方は、特に転倒には注意しましょう!
腰痛ナビのHPより>

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