2015年12月11日金曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.6』

前回は骨粗鬆症に伴って、高齢者に多い骨折の中での橈骨遠位端骨折について紹介しました。
<高齢者に多い骨折>
 ・脊椎圧迫骨折 (背骨)
 ・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
 ・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
 ・上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)

今回は、上腕骨近位端骨折について説明します。

『上腕骨近位端骨折』
 上腕骨近位端骨折に関しては、年間約3万件と上記の4つの中では少ないのですが、全国で1日に80人以上が骨折している計算になります。

<原因>
 高齢者では転倒して手や肘を突いたり、肩を直接ぶつてけたりして、軽い外力でも骨折する事が多く、若い人ではスポーツや交通事故などの強い外力、幼小児では骨端線付近で発生する場合があります。
 約80%は転位(ずれ)の少ない非転位型と言われますが、残りの約20%は転位型と言われ骨のどこの部分がどのように折れたかによって分類されます。

<症状>
 受傷直後からの強い痛みがあり、時間の経過と共に腫れて来ます。
 上腕を拳上するなどの運動が不可能になり、転位の程度によって変形が見られます。
 骨折してから2~3日後に、肩から胸にかけて皮下出血が見られ、骨折と同時に脱臼を伴う事もあり、また折れた骨によって、脇の下を通過する腋窩(えきか)神経腋窩動脈腋窩静脈の損傷を合併する事があります。

<診断>
 診断には、X線(レントゲン)やCT、MRI検査を行い、受傷した部位と骨折の程度を判断します。
 骨の折れ方によって、治療法が異なる為、転位の状態や骨片の有無などの判断が必要になります。

<保存的治療方法>
 転位の少ない骨折は、保存的治療の適応で、三角巾とバストバンドと言われるバンドで上腕を体幹に密着させて固定します。
 受傷後の約3週で仮骨が形成され、約6週で骨癒合が安定して来ます。
<手術的治療方法>
 手術では、X線透視下でキルシュナー鋼線と言われる針金で固定する方法や、最近では、骨幹の中心部にある髄腔に金属製の長いロッド(棒)を打ち込んで固定する髄内固定法、ロッキングプレートと言われるプレートで固定する方法もあります。
 また脱臼を伴う場合や4ヶ月以上経過した陳旧例、重度の骨粗鬆症の場合では人工骨頭置換術が適応となります。

<予後>
 保存的治療方法でも手術的治療方法でも早期に治療すれば、予後は比較的良好です。

高齢者の方は、特に転倒には注意しましょう!

<古東整形外科のHPより>

2015年12月8日火曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.5』

昨日7日は、二十四節気の『大雪』でした。
既に北海道では大雪となっている所もありますが、こちら岐阜県の美濃地方でも雪が降り出す頃で、食べ物で言えば『師走』という字でも使われて『師』が付く『鰤(ブリ)』が美味しくなる頃でもあります。
また冬型の気圧配置が強まり、内陸部や太平洋側では『風花』と言われる、晴天の青空の中をハラハラと舞うように降る雪が見られるようになります。

さて、前回は骨粗鬆症に伴って、高齢者に多い骨折の中での大腿骨頚部骨折について紹介しました。
<高齢者に多い骨折>
 ・脊椎圧迫骨折 (背骨)
 ・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
 ・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
 ・上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)

今回は、橈骨(とうこつ)遠位端骨折について説明します。

『橈骨遠位端骨折』
 橈骨遠位端骨折に関しては、年間約10万件も発生し、前腕の2本あるうちの小指側にある尺骨(しゃっこつ)に対して、親指側の橈骨と言われる骨の遠位端で折れる骨折を言います。

<原因>
 転倒して手を突いた時に骨折する事が多く、その手の突き方によって骨折の種類が変わって来ます。
 一般的に手の平を突いて骨折した場合は、骨折線が手の平側から手の甲側に走り、見た目で手の甲側に乗り上げたような『コーレス(Colles)骨折』と自転車のハンドルを握ったままで手の甲を突いて骨折した場合は、骨折線が手の甲側から手の平側に走り、見た目で手の平側に沈み込んだような『スミス(Smith)骨折』とがあります。

<症状>
 手に力が入らず、手首に強い痛みが出て、短時間で腫れて来ます。
 折れた骨や腫れによって正中神経などが圧迫されて、手が痺れるなどの神経障害が見られる事もあります。
 コーレス骨折の場合は、フォークを伏せて置いたように見える事からフォーク状変形と言われています。

<診断>
 診断には、X線(レントゲン)やCT、MRI検査を行い、受傷した部位と骨折の程度を判断します。
 骨の折れ方によって治療法が異なる為、骨折線の入り方や骨片の有無、関節内骨折かどうかなどの判断が必要になります。

<保存的治療法>
 通常は、徒手整復してからギプスやギプスシーネで固定して、状態が良ければ約5週でギプスを取ります。
 *幼小児の場合は、骨が柔らかい為にポキンと完全に折れる事は少なく、折れずに曲がったような若木骨折、潰れたような竹節状骨折、いわゆる骨と言われる部分と今後成長して行く軟骨部分との間で骨折する骨端線離解がありますが、骨癒合も早く、元に戻そうとする自家矯正力が旺盛なので、多くの場合は手術は適応となりません。
<手術的治療法>
 手術では、X線透視下でキルシュナー鋼線と言われる針金で固定する方法や、最近ではロッキングプレートと言われるプレートで固定する方法が主流となりつつあります。
 手術が適応となるのは、活動性の高い人の(スポーツ選手や認知症となった人など)や骨片が多数あったり、骨欠損があったりして整復が出来ない場合、また整復した状態を保てないような不安定型の骨折の場合などとなります。

<予後>
 予後は比較的に良好ですが、骨折して早期に外科的な整復・固定されたとしても、痛みや関節可動域(ROM)の減少などの機能障害、手根管症候群と言った神経障害、長母指伸筋腱長母指屈筋腱などの断裂を生じる事があります。

<この骨折をした有名人>
 元メジャーリーガーでヤンキース時代の松井秀樹選手、ももいろクローバーZの高城れにさん、AKB48の木崎ゆりあさんなど。

高齢者の方は、特に転倒には注意しましょう!
<コーレス骨折の様子 兵庫医科大学のHPより>

2015年11月24日火曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.4』

昨日、23日は二十四節気の『小雪』でした。
徐々に陽射しが弱くなり、虹が発生し難くなって来ます。
また、紅葉が散り始めて、イチョウの木からは銀杏が落ち、柑橘類の実が黄色く色付いて来る頃です。

さて、前回は骨粗鬆症に伴って、高齢者に多い骨折の中での脊椎圧迫骨折について紹介しました。
<高齢者に多い骨折>
 ・脊椎圧迫骨折 (背骨)
 ・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
 ・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
 ・上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)

今回は、大腿骨頚部骨折について説明します。

『大腿骨頚部骨折』
 大腿骨頚部骨折に関しては、関節包内骨折(一般的な大腿骨頚部骨折)と関節包外骨折(大腿骨転子部骨折、大腿骨転子下骨折)の2種類があります。
 年間約17万人が骨折し、長期の入院で体力や身体の機能が低下する事により、骨折前には約60%の方が自立していたのに、1年後には約40%にまで低下し、寝たきりや要介護状態に陥り、約10%が死亡するというデータもあるくらい深刻です。

<原因>
 転倒による骨折が最も多いのですが、寝たきりなどの高度に骨粗鬆症が進んでいる場合には、おむつ交換の時など大きな外力が加わっていないのに骨折してしまう事も珍しくありません。

<症状>
 股関節部に痛みと腫れがあり、立つ事や歩く事が出来なくなります。

<診断>
 診断には、X線(レントゲン)やCT、亀裂骨折(ヒビ)と言った分かり難い場合にはMRI検査を行い、受傷した部位と骨折の程度を判断します。 

<保存的治療法>

 大腿骨頚部骨折に対しては、一般的に手術療法が選択されますが、糖尿病などさまざまな合併症により手術が困難な場合や、本人や家族が手術を希望しない場合、認知症があり術後の管理が難しいと思われる場合は、保存療法が選択される事があります。
 大腿骨頚部での骨癒合は約12週で、高齢者では遅れる傾向にあり、この場合の入院期間は、数ヶ月必要となってしまいます。
<外科的治療法>
 骨折した部位が関節包内か関節包外かによって手術方法が異なりますが、これは関節の内側では血流が乏しく骨がくっつき難く、逆に外側では血流が良く骨がくっつきやすい為です。
 ・人工骨頭置換術
  骨折した頚部から骨頭までを切除して,そこを金属やセラミックなどの人工物に置き換える手術です。
 ・骨接合術
  折れた骨をピンやスクリューなどの金属の器具で固定して,折れた部分をくっつける手術です。
  手術をした場合の入院期間は3週間から1ヶ月くらいです。

<頚部骨折における骨癒合し難い理由>
 ・大腿骨を栄養する血管が損傷して、骨頭の壊死偽関節となる
 ・外骨膜がない為に骨膜性仮骨が形成されない
 ・骨折線が傾斜する為に剪断力が働く

<予後>
 手術をして早期に退院したとしても、かなり高い頻度で肺炎循環器疾患精神的障害などの合併症は発生しています。
 大腿骨頚部骨折は、骨折そのものによる障害よりも、ベッド上で安静にしているからこそ起こる多くの問題が出現します。
 具体的には、褥瘡(床ずれ)尿路感染症、肺炎、認知症の出現や悪化などの可能性が高くなり、また体を動かさない事で、関節が硬くなったり筋力や体力の低下などによって、骨がついても歩行困難となってしまう場合があります。

 その為、早期に手術を行い、早期にリハビリを開始し、早期に離床する事が理想なのです。

高齢者の方は、特に転倒には注意しましょう!

2015年11月21日土曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.3』

前回は、骨粗鬆症に伴って、高齢者がどこの場所を骨折しやすいのか紹介しました。
<高齢者に多い骨折>
 ・脊椎圧迫骨折 (背骨)
 ・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
 ・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
 上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)

今回からは、それぞれの骨折について説明します。

『脊椎圧迫骨折』
 脊椎圧迫骨折に関しては、1年に約90万人が骨折していると発表されていて、背骨(頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個)の中でも、特に胸腰椎移行部(胸椎の下部~腰椎の上部)に多く発生しています。
 通常、手術はしない事が多く、潰れた状態で骨が固まってしまう為、背中が後方に弯曲して丸くなったり(亀背)、背が低くなる事があります。

<原因>
 尻もちをついたり、くしゃみをしたり、重い物を持ち上げるなど、ちょっとしたきっかけで椎体が潰れる事があり、気付かない間にいつの間にか骨折している事もあります。

<症状>

 痛みには特徴があり、寝ている姿勢から起き上がろうとすると鋭い痛みが生じ、一旦立ち上がれば痛みが落ち着いて、歩行も可能になるので『体動時腰痛』と言われています。
 また、骨折による脊髄の圧迫の為、筋力低下、知覚麻痺、膀胱直腸障害(尿や便の失禁など)、骨折や変形による神経障害、歩行障害、背骨が横に曲がってしまう脊椎側弯症、前に曲がってしまう脊椎前弯症、後ろに曲がってしまう脊椎後弯症、更にこの脊椎後弯症による逆流性食道炎心肺機能低下などの症状が見られる事もあります。

<診断>

 診断には、X線(レントゲン)やCT、MRI検査を行い、受傷した部位と骨折の程度を判断します。 

<保存的治療法>

 コルセットやギプスを装着して、2~3週間、ベッド上で安静にする必要があります。
 コルセットなどを巻いたままでの生活になるので、日常における活動が制限され、長期の入院が必要になる事もあります。 
 また、高齢になる程、長期間のベッドの上での安静は、著しい筋力低下認知症の出現や悪化の危険性も伴います。

<外科的治療法>

 経皮的椎体形成術:PVP(Percutaneous Vertebroplasty)
  基本的には局所麻酔で、経皮的に変形した椎体に対し、金属針を刺入し骨セメントを注入します。
   手術時間は約1~2時間で、当日はベッド上での安静となり、手術後の状態が問題なければ、翌日から歩行を開始し、3日~7日で退院となります。
   現在、日本では保険診療の対象になっていません。
 ・経皮的後弯矯正術:BKP(Balloon Kyphoplasty)
   全身麻酔で、経皮的に変形した椎体に対し、バルーン(風船)状の手術器具で椎体に骨セメントを注入します。
   手術時間は1時間以内で、当日はベッド上での安静となり、手術後の状態が問題なければ、翌日から歩行を開始し、3日~7日で退院となります。
   保険診療の適応ですが、椎体の圧迫骨折から8週間経過しても痛みと変形が残っている場合などに限られています。

<予後>

 一般に骨粗しょう症では、一度脊椎の圧迫骨折を起こすと、その後、隣接する椎体を含めて再骨折する確率は、2年以内で約40%と言われています。
 1個の脊椎圧迫骨折がある症例では, 1年以内に再度圧迫骨折する頻度は、 骨折のない症例と比較して3.5、2個以上の圧迫骨折がある症例では8 倍になるというデータもあるくらい再発しやすい骨折です。

高齢者の方は、特に転倒には注意しましょう!
腰痛ナビのHPより>

2015年11月13日金曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.2』

前回は、骨粗鬆症の話をしました。
高齢者で特に閉経後の女性に多く、冬場に多発するという内容でした。

今回は、身体の中でも、どこの場所を骨折しやすいのか紹介します。

<高齢者に多い骨折>
  ・脊椎圧迫骨折 (背骨)
  ・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
  ・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
  ・上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)

次回からは、それぞれの骨折を説明したいと思います。



TERUMOHPより>

2015年11月10日火曜日

転倒による骨折に要注意! 『No.1』

11月8日は、二十四節気の『立冬』でした。
朝夕冷え込むようになり、日中の陽射しも弱まって来て、一雨ごとに寒さが増して行きます。

さて、2014年における日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳となり、いずれも過去最高を更新して、出生率が低い中で高齢化社会が進んでいます 。

東京消防庁の調査によると、高齢者の負傷事故の原因は、転倒と転落が約8割を占めていて、その転倒場所の約6割が、自宅など建物の中で発生しています。
また、これからの冬場の時期に、骨粗鬆症によって骨折する件数が多いというデータがあります。
この原因として、自宅でコタツを利用する事によって、コタツ布団に足を取られて転倒したり、寒さの為に筋肉や関節が硬くなりやすく、着ている洋服も厚手になりがちなので、咄嗟に動き難いなどの理由が考えられます。

骨粗鬆症とは、骨が脆くなって骨折しやすくなる病気ですが、成長期以降に加齢や女性では閉経に伴って、破骨細胞による骨吸収骨芽細胞による骨形成を上回る事で骨強度が低下していってしまう状態です。
簡単に言えば、骨がリモデリングと言われる代謝をして入れ替わって行く中で『造るスピードよりも壊すスピードの方が早い為に、どんどん弱くなってしまう』という事です。

骨強度 = 骨密度 × 骨質
と表されますが、骨密度とは『一定容積の骨に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の量』の事で、骨質とは『構造や材料』の事です。
例えば、骨を鉄筋コンクリートの建物だとすると、カルシウムなどのミネラルはコンクリートで、タンパク質であるコラーゲンがコンクリートの中に埋まっている鉄筋だとすると、これら鉄筋コンクリートが、ぎっしりと詰まっている事で丈夫な骨が作られるという事になります。

転んでも折れない丈夫な骨を作りましょう!


骨粗しょう症のHPより>



2015年10月9日金曜日

水分をこまめに摂りましょう! 『No.5(最終回)』

昨日は、二十四節気の『寒露』です。
晩夏から初秋にかけて、気温が低くなる事で野山の草花に宿るような冷たい露の事を言います。
 
日本各地に大きな被害をもたらした長雨が終わり、本格的な秋が始まろうとしています。
この時期は、大気の状態が安定して、先日のスーパームーンが見られたように、月も綺麗に輝いて見えるので、澄んだ夜空を見上げてみたいですね。

さてさて、本題に戻ります。
『水分摂取の重要性』に関するシリーズ最終回の5回目は、一日に摂取したい量と、その理由を紹介します。

体内に取り込む水分には、食物に含まれている水分(600ml)と、摂取した食物の脂肪や糖質などの栄養素が、体内で代謝する事で発生する水分 (代謝水・燃焼水 200ml)があります。
これに対して、体内から出て行く水分もあります。
皮膚や呼吸から蒸発して知らない間に失われる水分(1000ml)、尿や便として排泄される水分(1300ml)があります。
肺や気道は常に湿っていて、冬の寒い時期に息を吐くと白くなるように、常に水分を出していて、この呼吸によって400mlも失われ、また皮膚の表面を潤している水分が600ml蒸発しています。
これらを計算すると1500ml不足する事になります。

『1日に1500ml摂りなさい』と言っても、一度に摂っても意味がありません。
1日の中で6時間寝ているとして、残りの18時間で1500ml摂取すると、1時間に83ml摂取する必要があります。
83mlって・・・ゴクゴクとおよそ2口くらいの量です。
しかし、これは最低ライン。
スライドにあるように発汗量は含まれていないので、夏場や運動時では、ミネラルも含めてより多くの水分摂取が必要になります。

最近、天気予報でも乾燥注意報が出るようになりました。
夏場に比べて汗をかかなくなってきたと言っても、水分をしっかり摂って、身体の中から保湿するように心掛けましょう。

2015年9月11日金曜日

水分をこまめに摂りましょう! 『No.4』

新聞の折り込み広告でも増えて来ているように、スポーツの秋が目の前に来ています。

9月12日、明日は『マラソンの日』です。
マラソンの日になった由来とは・・・
紀元前490年のこの日、ペルシャ軍がギリシャのアテナイ(現在のアテネ)を攻撃し、マラトンに上陸したのをアテネ軍が撃退しました(マラトンの戦い)。
これをアテネ軍の兵士が伝令となって、マラトンからアテネの城門までの約37kmを走って勝利を報告し、そこで息絶えた日とされているからです。
マラソンと言う競技は、1896年にアテネで第1回オリンピックが開かれるに当たり、この故事によってマラトンからアテネ競技場まで行われました。
また、マラソンという言葉は『マラトン(Marathon)』という地名を英語読みしたものです。

当初、走る距離に正式の決まりはなく約40kmの距離でしたが、1924年の第8回大会から現在の42.195kmとなりました。
 これは、1908年にロンドンで行われた第4回のロンドン大会で 42.195キロが走られた事がきっかけとなっています。
このロンドン大会当初は、本来の約40kmで計画されていましたが、 英国の王妃アレクサンドラが『スタートは宮殿の庭で、ゴール地点は競技場のボックス席の前で見たい』と言い出したので、  王妃が住んでいるウィンザー城の庭からスタートして、観覧席が準備されたホワイトシティーの競技場までとなった為に距離が変更されて、42.195kmとなったようです。

ちなみに、マラソン競技において、給水地点は10km以降の約5kmごとに7ヶ所程度あります。
レース終盤、脱水症状で倒れたりフラフラになるなど、選手にとってはここでの給水が、大きく結果を左右する事になります。

さてさて、本題に戻ります。
『水分摂取の重要性』に関するシリーズの4回目は、体内での水分の役割を紹介します。

どれを取ってみても水分が、如何に重要かが分かりますよね。
・栄養や酸素など、身体にとって必要な物を必要としている所へ運搬する
・老廃物や毒素など、身体にとって必要としていない物を体内から排出する
・運動や発熱で高くなり過ぎた体温を下げる
生体恒常性(ホメオスタシス)を維持する
 *生体恒常性(ホメオスタシス)とは・・・
   生体が外的および内的環境の変化を受けても、生理状態などを常に比較的狭い範囲内で変
   動しているといった、動的な平衡状態の中で一定範囲内に調整し保つ事

9月に入り、涼しくなって来ているとはいえ、運動会など特に運動する際には水分をこまめに摂りましょう!

2015年8月31日月曜日

子供達、大丈夫ですか?

内閣府の調査によると、18歳以下の自殺者の人数を日付別に比較した所、9月1日が極めて多く、他にも夏休みや春休みといった長期休暇が明けたる時期に集中しているという事です。
1. 9月1日・・・131人
2. 4月11日・・・99人
3. 4月8日・・・95人
4. 9月2日・・・94人
5. 8月31日・・・92人
<1972~2013年における日付別の自殺者数 内閣府>

原因は『家庭内の問題』『友人関係』『成績の問題』『進路に関する悩み』などがあるようです。
家族や友人、先生に相談出来るケースばかりではなく、子供達だけで抱え込んでいるケースもありますが、その多くは『元気がない』『起床が遅くなる』『腹痛などの身体症状』などの前兆が現れるようなので、周りの人達が子供達と普段からコミュニケーションを密にとるようにして、いち早く異変に気付いてあげられると良いかもしれません。

*全国共通の子供向け電話相談
   ℡ 0570-0-78310
   (通話有料、保護者も相談可能)
   ℡ 0120-99-7777
   (通話無料、毎週月曜日~土曜日 午後4時~午後9時)

ロダン美術館 HPより>


2015年7月24日金曜日

土用の丑の日 = 鰻にとっては受難の日…鰻に感謝!

今日は『土用の丑の日』で、夏バテ対策に『を食べよう!』と言われます。
この起源は、江戸時代、本来は秋から冬に旬と迎える鰻が、夏の時期に売れないからと、鰻屋さんから相談を受けた、蘭学者・発明家である平賀源内が発案したとされていますが、友人の歌人・作家である大田南畝(蜀山人)医者の杉田玄白と研究していた結果かなのかもしれません。

土用とは、暦の立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれ18日前の期間の事で、その中で十二支が丑の日を『土用の丑の日』と言います。
夏が有名ですが、元々、年に約6回あります。
今年は、今日を逃してしまっても8月5日にもう一度『土用の丑の日』が来ます。
(年に4回あるのに、2月に恵方巻きを食べる『節分』と同じような物ですね。)

鰻の栄養価が高く滋養強壮に良い事は、奈良時代の歌人である大伴家持万葉集で、
『石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻とり食せ』
『痩す痩すも 生けらばあらむを 将(はた)やはた 鰻を漁ると 河に流れな』
と詠む程、古くから知られていたようです。



2015年7月23日木曜日

水分をこまめに摂りましょう! 『No.3』

今日は、二十四節気の『大暑』で、いよいよ一年で最も暑い時期を迎えました。
体調を崩さないように、この暑い時期をしっかりと乗り越えて行きましょう。

『水分摂取の重要性』に関するシリーズの3回目は、体内の水分が何%失われると、どのような症状が起こりやすいかと言う紹介です。

スライドを見て分かる通り、
1%で、喉の渇きを感じるようになり、既に身体が水分不足を訴えるようになります。
2%で、運動能力が低下してしまいます。
     特にスポーツの現場において、パフォーマンスが落ちてしまい、結果を大きく左右するような極めて重要な事態になります。
3~4%で、運動などをしていなくても、疲労感や脱力感を覚えるようになります。
5%で、めまいと書いてあり、メニエール氏病と言う名前を聞いた事があるかと思いますが、もしかしたら水分不足が原因なのかもしれません。また最近、急増している熱中症にも注意が必要です。
10%を超えると大変危険な状態となり、生命の危機に近付いて行きます。

1日水分を摂れないと2.5%もの水分を失われる事になり、災害などでの人命救助では『72時間の壁』と言われるように、脱水症状は天候などに大きく左右されるものの、気温が高ければより深刻な事態となってしまいます。

2015年7月10日金曜日

水分をこまめに摂りましょう! 『No.2』

『水分摂取の重要性』に関するシリーズの2回目は、体内における水分の割合です。

体液は、細胞内液(細胞の内側にある水分)に40%、細胞外液(細胞の外側にある水分)に20%{血漿に5%、細胞間液リンパ液を含む)に15%}存在しています。
例えば、体重60kgの成人では、細胞内液が24ℓ、細胞外液に12ℓ(血漿3ℓ、細胞間液9ℓ)の体液があると考えられます。

細胞内液は、ミトコンドリアによるエネルギー産生やリボソームによるタンパク質合成などの代謝、核などの細胞小器官が活動する為に必要です。

細胞外液は、循環血液量を維持し、栄養素や酸素などを細胞へ運び、また細胞内から老廃物や二酸化炭素などを外に運び出す為に欠かせません。

2015年7月7日火曜日

水分をこまめに摂りましょう! 『No.1』

今日は、二十四節気の『小暑』で『七夕』でもあります。
徐々に暑さが増して、本格的な夏の到来となります。
また日本列島の南の方から、梅雨が明け始める頃ですが、台風などの集中豪雨が多く発生する時期でもあります。

ここ東海地方は平年であれば、あと2週間程で梅雨明けとなりますが、梅雨が明けると、強い日差しと高い湿度を伴って気温が一気に上がるので、夏バテなどの症状が出やすくなるので注意しましょう。
食欲が落ちて来ると、ついつい口当たりの良い麺類(主に炭水化物)に偏って摂りがちですが、夏バテにならないように、肉や魚などのタンパク質を中心にビタミンやミネラルなどの栄養素もしっかり摂りましょう。

暑くなって来ると、特に心配なのが『熱中症』ですが、夏に限らず、普段からの水分摂取を心掛けたいものです。

その理由をシリーズで紹介したいと思います。
今回は、その第1回です。
赤ちゃんから老人までの年齢層を比較すると、若ければ若い程、身体に占める水分の割合が上がって行きます。
つまり、その分、大人よりも多くの水分補給が必要となる訳です。
赤ちゃんや幼児では『喉が渇いた』などと主張しにくいので、周りにいる親御さんやスポーツ指導者などみんなで水分を摂るように注意を促してあげましょう。


2015年6月30日火曜日

閏(うるう)秒って何?

明日、2015年7月1日の8時59分60秒がやって来ます。

4年に一度やって来る『閏年』は聞き慣れた感じがしますが、『閏秒』はあまり馴染みがありませんね。
前回は3年前の2012年7月1日でした。

そもそも閏秒という概念が現れたのは、正式名称を『原子周波数標準器』と言う原子時計が開発され、1967年に『セシウム原子が91億9263万1770回振動する時間』を1秒と定義されてからです。


本来、地球の自転の速度にはムラがあり、常に一定の速度で回転している訳ではありません。
大気の動きや潮汐、地球内部のマントルの影響などが原因と言われていて、地球の回転が速い状態が続いたり、また遅い状態が続いたりした場合に、
地球の自転1回を1日とする『天文時』と『原子時』差を調整する為に、閏秒による調整が行われます。
つまり、地球の自転の速度が遅い場合は閏秒を『挿入』して、回転速度が速い場合は閏秒を『削除』して調整する訳ですが、1972年~2012年までに行われた25回の閏秒調整はいずれも『挿入』でした。

この閏秒を巡っては、存続なのか廃止なのか様々な議論が行われており、2015年11月には世界無線通信会議(WRC:World Radio communication Conference)が予定され、閏秒についての議論は、この会議で最終的な方向性が示される見込みのようです。
仮に廃止が決まった場合でも、猶予期間の関係上、最速での廃止時期は2022年となります。

2015年6月23日火曜日

本格的な夏を前にヤマモモは如何ですか?

昨日は、二十四節気の『夏至』でした。
一年の中で最も日照時間が長い時期です。
まだ1ヶ月くらいは梅雨が続きますが、梅雨が明ければ本格的な夏がやって来ます。

写真の果実は『ヤマモモ(山桃)』ですが、先日、訪れた養老公園にあった立派な木になっていた物です。
いくつか食べさせて頂きましたが、ほんのり甘酸っぱくて美味しかったです。

ヤマモモは昔から生薬として重宝され、果実は楊梅(ようばい)と言われ、クエン酸が多く疲労回復に有効で、赤い色素成分はアントシアニンなどを含み、抗酸化力が強く眼精疲労など眼科系疾患の改善にも有効とされています。
また樹皮は楊梅皮(ようばいひ)と言われ、タンニンを多く含むので、胃腸の働きを促進して食欲を増進させ、止瀉作用もあります。
消炎作用もあるので、樹皮を乾燥したヨウバイヒ(楊梅皮)を粉末にして、卵白や酢と一緒に練って塗布して、捻挫や打撲、筋肉痛などにも利用されます。
昔は、漁網の強度を高めるために染料として利用されるなど、生活の中の様々な場面でヤマモモが活躍していたようです。

2015年6月5日金曜日

中東呼吸器症候群(MERS)とは?

ここ最近、中東呼吸器症候群(MERS:Middle East Respiratory Syndrome)が話題となり、韓国においては、6月5日現在4人の死者が出たと報告されています。

このMERSとは、2012年にサウジアラビアで初めて同定され、中東地域で多く報告されている新規のマーズコロナウイルス(MERS‐CoV)によって起こるウイルス性の疾患です。
*2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS:Severe Acute Respiratory Syndromeの原因となった病原体もコロナウイルスの仲間ですが、SARSとMERSは異なります。

主な症状は、発熱、咳、息切れなどの呼吸器系の症状ですが、下痢などの消化器系の症状を伴う場合もあります。
MERSに感染しても、症状が現われない人や、軽症の人もいますが、特に高齢の方や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人で重症化する傾向があります。

MERS患者の致死率は約36%とSARSの約9%と比較してもかなり高い致死率と言えます。
現在、感染者の大部分はヒト―ヒト感染ですが、ラクダがウイルスの重要な保有宿主であり、ヒトへのMERS感染の動物感染源と考えられています。
しかし、ラクダによる感染の正確な役割は解明されていませんが、現段階での感染経路は、飛沫感染接触感染と考えられています。

現在、MERSに対するワクチンや特異的な治療法はなく、患者の症状に応じた治療(対症療法)になります。
対策としては、感染しても発症しないよう免疫力を上げる為に、まずは体調を崩さないように気を付けましょう。

2015年5月18日月曜日

思いやりのある運転を!

内閣府によって5月11日(月)~20日(水)の10日間で『春の全国交通安全運動』が実施されていて、期間中の今回のテーマは『子どもと高齢者の交通事故防止』となり、特に20日(水)は『交通事故死ゼロを目指す日』とされています。 

初心者マークを付けた車を見掛ける事が多く、特に高校や大学を卒業して、この4月から進学や就職した人達は、通学や通勤、レジャーなど車に乗る機会が増えていると思います。
免許を取ったばかりの頃は、慎重な運転だったと思いますが、そろそろ慣れてきて緊張感が欠けて来る頃かもしれません。慣れてきたとはいえ、運転には十分に気を付けましょう。

この初心者マークですが、普通自動車免許取得から1年以内の人に義務付けられており、付けていないと違反点数1点と反則金4,000円となります。

これに対して、高齢運転者マークは、70歳以上の人に表示するように努める努力義務となっていて、表示していなくても罰則はありません。

これらの他にも聴覚障害者マーク身体障害者マークを付けた車が走行していたら、こちらの安全を確保する為にも譲ってあげるなどの心配りをしてあげたいですね。
自動車の運転者が表示する標識(マーク)の一覧

*アキラ鍼灸接骨院では、交通事故に関する治療も行っています。
ムチ打ちや頭痛、めまい、腰痛などの症状でお困りの方は、一人で悩まずにお気軽にご相談下さい。

2015年3月27日金曜日

この花は何でしょうか?

先週の21日は、二十四節気の『春分』でした。
全国のニュースで、桜(ソメイヨシノ)の開花し始めているようですが、写真にある『木蓮(モクレン)』は、正に今が満開です。

この写真にある木蓮は、以前の職場の患者さんの家の木ですが、調度、写真を撮らせて頂きにお邪魔した時にご夫婦でいらっしゃって『自分(お父さん)が18歳の時に植えたんだ。樹齢は73年になるなぁ。』『・・・という事はお父さん、もう91歳じゃないですか!』とお話をする事も出来ました。
なんてお元気なお父さんで、なんて立派な木なんでしょう!
『今は綺麗だけど、花や葉っぱの後片付けが大変だから・・・』ともおっしゃられていましたが、この立派な木蓮の花を、また来年も見たいです。

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