<高齢者に多い骨折>
・脊椎圧迫骨折 (背骨)
・大腿骨頚部骨折 (股関節の骨)
・橈骨遠位端骨折 (手首の骨)
・上腕骨近位端骨折 (肩関節の骨)
今回は、上腕骨近位端骨折について説明します。
『上腕骨近位端骨折』
上腕骨近位端骨折に関しては、年間約3万件と上記の4つの中では少ないのですが、全国で1日に80人以上が骨折している計算になります。
<原因>
高齢者では転倒して手や肘を突いたり、肩を直接ぶつてけたりして、軽い外力でも骨折する事が多く、若い人ではスポーツや交通事故などの強い外力、幼小児では骨端線付近で発生する場合があります。
約80%は転位(ずれ)の少ない非転位型と言われますが、残りの約20%は転位型と言われ骨のどこの部分がどのように折れたかによって分類されます。
<症状>
受傷直後からの強い痛みがあり、時間の経過と共に腫れて来ます。
上腕を拳上するなどの運動が不可能になり、転位の程度によって変形が見られます。
骨折してから2~3日後に、肩から胸にかけて皮下出血が見られ、骨折と同時に脱臼を伴う事もあり、また折れた骨によって、脇の下を通過する腋窩(えきか)神経、腋窩動脈、腋窩静脈の損傷を合併する事があります。
<診断>
診断には、X線(レントゲン)やCT、MRI検査を行い、受傷した部位と骨折の程度を判断します。
骨の折れ方によって、治療法が異なる為、転位の状態や骨片の有無などの判断が必要になります。
<保存的治療方法>
転位の少ない骨折は、保存的治療の適応で、三角巾とバストバンドと言われるバンドで上腕を体幹に密着させて固定します。
受傷後の約3週で仮骨が形成され、約6週で骨癒合が安定して来ます。
<手術的治療方法>
手術では、X線透視下でキルシュナー鋼線と言われる針金で固定する方法や、最近では、骨幹の中心部にある髄腔に金属製の長いロッド(棒)を打ち込んで固定する髄内固定法、ロッキングプレートと言われるプレートで固定する方法もあります。
また脱臼を伴う場合や4ヶ月以上経過した陳旧例、重度の骨粗鬆症の場合では人工骨頭置換術が適応となります。
<予後>
保存的治療方法でも手術的治療方法でも早期に治療すれば、予後は比較的良好です。
高齢者の方は、特に転倒には注意しましょう!
また脱臼を伴う場合や4ヶ月以上経過した陳旧例、重度の骨粗鬆症の場合では人工骨頭置換術が適応となります。
<予後>
保存的治療方法でも手術的治療方法でも早期に治療すれば、予後は比較的良好です。
高齢者の方は、特に転倒には注意しましょう!
<古東整形外科のHPより>